「羊をめぐる冒険」の翻訳(70)

「羊をめぐる冒険」の翻訳(70)

1 奇妙な男の奇妙な話(1)(3)

「それからクライアントとの今後の喫約問題もあります。我々の立場は弱いし、クライアントは一度トラブルを起こした広告代理店を避けたがります。我々は生命保険会社と一年間のPR誌発行喫約を結んでいるわけですが、もし今回のトラブルでそれを廃棄されると、我々の会社は実質的に沈没(ちんぼつ)します。我々の会社は小さいしコネクションもないけれど仕事の評判がよくて口コミで伸びてきた会社だからです。一度悪い評判が立つと、それでおしまいです」

男は僕がしゃべり終えても何も言わずにじっと僕の顔を見ていた。それから口を開いた。「君はとても正直にしゃべる。それにしゃべった内容も我々の調査と合っている。その点については評価するよ。そこでだ、もし私が生命保険会社に廃棄ぶんの雑誌に対する無条件の支払いと、今後の喫約の続行(ぞっこう)を忠告したらどうなるだろうね」

「あとは何もありませんよ。なぜあんなことになったんだろうという素朴(そぼく)な疑問を残したまま退屈な日常に戻っていくだけです」

「その上にプレミアムをつけてもいい。私が名刺の裏に一言書くだけで、君の会社はあと十年ぶんくらいの仕事を取れるよ。けちなちらし仕事じゃなくてね」

「要するに取引ですね?」

「好意の交換だよ。私は君の共同経営者にPR誌が発行停止になったという情報を好意で提供したんだ。それに対して君が好意を示してくれれば、私もまた君に好意を示す。そう考えてもらえないかな。私の好意は役に立つよ。君だっていつまでも頭の鈍い酔払いと共同で仕事をつづけているわけにも行かないだろう」

「我々は友だちです」と僕は言った。

底なし井戸に小石を投げ込んだような沈黙がしばらく続いた。石が底につくまで三十秒かかった。

「まあいいだろう」と男は言った。「それは君の問題だ。私は君の経歴をかなり細かく調べてみたんだが、それなりになかなか面白かった。人間をおおまかに二つに分けると現実的に凡庸なグループと非現実的に凡庸なグループにわかれるが、君は明らかに後者に属する。これは覚えておくといいよ。君の辿る運命は非現実的な凡庸さが辿る運命でもある」

「覚えておきます」と僕は言った。

男は肯いた。僕は氷は溶けてしまったグレープ?ジュースを半分飲んだ。

「それでは具体的な話をしよう」と男は言った。「羊の話だ」





  “还有和广告商那些后续的契约问题等。我们的基础很弱,广告商就会回避开引起一次纠纷的广告代理公司。我们和生命保险公司签了一年期间杂志发行的合同,假如因为这次纠纷被废弃了的话,我们的公司就实质地沉没了。我们的公司弱小,也没有什么靠山,但对工作的评价不错,是通过口碑而宣传出去的。一旦有一次不好的评价那也就彻底完蛋。”

  我讲完之后那男的一句话没说,死死地盯着我的脸。过了一会儿开口讲话。“你讲话很直。你所讲的内容和我们所调查的内容是一致的。这是对这一点的评价。那么,假如我向生命保险公司无条件地支付废弃杂志的保险,并且忠告向保险公司续约,会怎么样呢?”

  “如果那样的话就没有什么可说的了。为什么会那样做呢?那就会留下很单纯的疑问,也只能返回到无聊的日子。”

  “在刚才说的基础上你可以再增加酬金。只要在我的名片上只写了一句话,你们公司就可以获得今后十年的工作。而且不是那散发传单式的工作。”

  “概括地说这就是交易。”

  “这是善意的交换。我会向你的共同经营者善意地提出让停止发行PR杂志的情报。对此你若表示出善意的话,我也会对你表示善意。能不能得到这样想法呢?我的善意会起作用的。你总不能与大脑迟钝处于醉酒状态人还继续共同从事工作。”

  “我们是朋友。”我说。

  就像是向那无底的井中投石那样,沉默持续了一会儿。石头到井底用了三十秒的时间。

  “也可以这样说。”他说。“那是你的想法。“我对你的经历做了相当精细地调查,按原样地说非常有趣。把人大致分成两类的话,那就是现实的平凡的一类和非现实平凡一类。你很明显属于后者。还是记住这些为好。你所追寻的命运是追寻非现实的平凡的命运。”

  “我记住了。”我说。

  他点了点头。我把冰已经溶解的葡萄汁喝了一半。

  “那么我们具体地谈一谈。”他说。“就是有关羊的事。”

这位奇妙的男人还够讲义气,说明自己所应承担的经济责任,然后再谈具体事务。
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